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斜め上の人

しばらく前にツイッター内で中高通うなら公立か私立かみたいな議論があった。議論では、私立出身者による私立擁護や公立出身者による公立マジクソ論、子供は伸び伸び遊ばせるのが一番という意見もあれば習い事を含めいろんな経験をさせて選択肢を多くしてあげるべき、私立中高の人間関係は一生もの、等色々な意見が見られた。

そのどれもが一理あると思うんだけど、この手の教育・子育て関係のネタって結局意見が噛みあわず不毛なやり取りに終始するんだよな。子供の個性が皆バラバラだから。あたりまえだけど。
自分が受けてきた教育・子育てがそのまま自分の子供にピタリと合うかどうかなんて実際に子供を持ってみないと分からないし、就学年齢の子供を持つその時に自分がどういう教育環境にいるかによっても受けさせる学校教育は全然違ってくる。公立だ私立だと一口にいっても東京と自分の地元では状況が全然違うし、東北の大都市と四国の小さな村落でもそれぞれを取り巻く環境は「同じ公立/私立だから」では語れない。自分の限られた経験から公立論・私立論を語ってもしょうがないだろうって思う。

「自分の遺伝子を受け継ぐ子が~」とか言ってる意見もあったけど、どんだけ自分の遺伝子に自信あるんだよ。それに自分の遺伝子のうち良い部分だけが子供に受け継がれて発現するって能天気にもほどがあるんじゃないの。星新一の「ブロン」を百回読めと。

ってまあ、教育や子育てについて思うところはあるんだけど、子供を持っていない自分があーだこーだ言っても説得力ないので、自分自身の経験に絡んで一つだけ。受験やその先の進路とかを考えるとき、親のような縦の関係だけじゃなくて叔父・叔母とか親戚のお兄さん・お姉さんみたいな歳の近い斜めの関係の年上の存在って結構大きいよねって話。

自分は中学受験して中高と私立だったんだけど、中学受験も含めて自分の進路を考えるにあたって一番影響受けたのは叔父(母の弟)だった。実家近くで祖父母と一緒に生活してた叔父は、自分との年齢差が10歳と比較的小さかったこともあって叔父というよりは歳の離れた兄ちゃんって感じで、小さいころからよく遊んでもらってた。叔父は遊び方も真面目な父親とは違っていて、例えば花火だと、打ち上げ花火を手で持って自分たちで作った的を目掛けて打ち込んだり、噴射花火とロケット花火を組み合わせて自動発射装置を作ったりと、一工夫こらした遊び方を考えつく人だった。夏になると4時半時起きで近くの山にクワガタを取りに行ったり(当時でも珍しかったミヤマクワガタを何匹も捕まえる叔父はヒーローだった)、近くの野原にキャンプセットを持ち込んで泊まりで映画を撮ったり。正月になると貰ったお年玉をかけてブラックジャック大貧民をしてお年玉を巻き上げられたりもした。祖父母の家が近かったから時々夕飯を祖父母や叔父と一緒に食べることもあったんだけど、カリフラワー食べられなくて母親に叱られてた私に対して「でもゲロマズだよな」ってこそこそ話をしたりしてとにかく面白くて大好きな兄ちゃんだった。
叔父は東京の大学に進学して祖父母の家を出たんだけど、その後も大学の夏休みとかには高速バスに乗って東京の叔父のところに遊びに行ってた。

小学校4年の時、母親から「A中学って学校に興味ある?」って聞かれた。A中学は地元の私立中高一貫校。自分の地元は色々あって当時は公立学校の学力がかなり低く、地元の国立大学に進学するのも県内の公立高校からはかなりハードルが高いと見られてた。地元で進学校というと男子は私立のAとB,国立のCと言われていて、進学実績でもこの三校が抜きんでていて公立はその遥か後塵を拝していた。母親はそういう事情を知っていたから子供の可能性を広げておきたいって思い、A中学を含む中学受験を考えたのだろう。で、母親から聞かれたA中学、叔父の母校だった。叔父に憧れてた自分は二つ返事で行きたいと言い、そこから中学受験勉強の日々が始まった。2年後第一志望のAに合格した時は、春から叔父が着ていた制服(当時流行のブレザーとは違って古風で個人的にはそこも好みだった)で同じ学校に通えることが何より嬉しかった。

その後も大学進学、就職、留学と節目節目に叔父に相談してきた。今でも父親を除くと仕事について一番の相談相手は叔父だ。親との関係で激しい反抗期があったわけではないけど、10代は親よりも叔父の言うことに影響を受けてたし、親に反対されそうなこと、親に言えないことは叔父に相談してきた。キャリア的に今の自分があるのは特に根っ子の方向性のところで叔父の影響が大きい。親とは別に、斜め上という、直接プレッシャーがかかることなく必要な時に頼れるという絶妙な距離感の血縁に人生のロールモデルを見出すことが出来たのはとてもラッキーなことだったと思う。従兄弟/従姉妹の中では自分が一番年長で、まだ小学生の従兄弟/従姉妹もいるので、自分もそうした近しい若年者にとってそういう存在になれたらいいなと思う。